この「新メイプルタウン物語 パームタウン編」を一通り見たが、やはり当初の印象通り、ガールズライフストーリーであると思う。
ただし、丁寧に書いてある。
前作「メイプルタウン物語」よりも現実的な世界にしたせいか、日常生活面を丹念に描いており、好感が持てる。
これも日本の少女向けアニメ第1号の「魔法使いサリー」から現在の「HUGっと!プリキュア 」に続く、伝統の一つに連なると言って良いだろう。
テーマとしては「もっとフレンド」であり、主人公パティにもう一人の親友のローリィを出し、彼女らを軸にして女の子グループとジョーイ。そしてその家族と、大人数にもかかわらず系統付けて友達関係を築けるのも良かった。
悪役もヨータとグータという2人コンビにして、彼らの友情も描かれたことも良い。
惜しむらくは、新キャラの投入失敗など終盤やや迷走気味というのが気になった。
ヨータとグータは当初は実の兄弟ではないかと思われ、「捨て猫」と言われ異常に反応するところ共通の辛い過去を思わせたが、途中で他人同士であることを匂わされ、最後にはっきりと他人であるというエピソードが出てきたのも、私は後付け設定のような気がする。
ジジとジョジョそして母親のシモーヌについても、もっと頭の方(中盤のリリア誕生ぐらい)で登場させた方がいいと思う。
ジジとジョジョは、容姿も性格もメイプルタウン編のダイアナを強く意識したキャラなので、ダイアナでは描けなかった心理状態を示してくれればよかったように思う。
そしてシモーヌは、製作当時の1987年のバブル時代を強く意識したキャラで、今見たらああだこうだ言えるが、当時としてその時代を冷静に見つめてくれればよかったように思う。
そして、最終回ではこれらの人たちが、みんな仲良くなるという最後が見たかったが、ビックリマンとの同居を余儀なくされるなど、色々な都合で、バタバタとした最終回になってしまったのも、惜しまれる。
しかし、ビックリマンとの同居を余儀なくされた最終盤でも名作揃いで、これはスタッフの意地とも言えるだろう。
放送されなかった6話分がどういう話だったか、気になるところではある。
というわけで、「新メイプルタウン物語 パームタウン編」は、前作「メイプルタウン物語」に負けず劣らずの名作だった。
ただし、ああいう終盤を余儀なくされた、悲運の名作と言っていいだろう。